初心者のギターの選び方|アコギとエレキ、最初の1本の決め方
アコースティックギターとエレキギター、どちらから始めるか。ボディサイズ、弦高、予算、必要な周辺機材まで、最初の1本を決めるための考え方をまとめました。
ギターを始めようと決めたとき、最初につまずくのが「どれを買えばいいのか分からない」という点です。楽器店には同じように見えるギターが何十本も並んでいて、値段は一万円台から数十万円まで開きがあります。見た目で選んでいいものか、それとも何か基準があるのか、判断がつかないまま時間だけが過ぎてしまう方は少なくありません。
最初の1本を決めるときに見るところは、実はそれほど多くありません。アコースティックギターとエレキギターのどちらにするか、体格に合うサイズか、弾きやすい状態に調整されているか、予算はどのくらいか。この4点が決まれば、候補はかなり絞れます。
ここでは、その順番に沿って考え方を整理しました。あわせて、ギター本体とは別に必要になるものにも触れます。
アコギとエレキ、どちらから始めるか
よく「初心者はアコギから」と言われますが、これに根拠はありません。アコースティックギター(アコギ)は弦が太く張りが強いため、押さえるのに力が要ります。エレキギターのほうが弦が細く、弦高も低めに作られていることが多いので、押さえるという一点だけを見れば、むしろエレキのほうが楽です。
違いは、押さえやすさよりも生活との相性に出ます。アコギは本体だけで音が鳴るので、買ってすぐ弾けます。一方で音量の調節ができず、集合住宅では時間帯を選ぶ必要があります。エレキはアンプにつながなければ生音はごく小さく、ヘッドホンを使えば夜でも練習できますが、その代わりアンプなどの機材が要ります。
| 項目 | アコースティックギター | エレキギター |
|---|---|---|
| 弦の押さえやすさ | 弦が太く力が要る | 弦が細く比較的楽 |
| 本体だけで鳴るか | 鳴る | 生音はごく小さい |
| 音量の調節 | できない | アンプ側で調節できる |
| 本体以外に要るもの | 少ない | アンプ・シールドが要る |
| 本体の重さ | 軽めのものが多い | 重めのものが多い |
どちらが向くかは、住んでいる環境と、次に述べる「弾きたい曲」で決まります。両方に興味があるなら、後から片方を足すこともできるので、最初の1本で悩みすぎる必要はありません。
弾きたい曲から逆算する
選び方で一番外れが少ないのは、弾きたい曲を先に決めて、そこから楽器を選ぶ方法です。弾き語りをしたい、キャンプや旅行に持っていきたいということならアコギになります。バンドの曲をコピーしたい、歪んだ音を出したいということならエレキです。
好きな曲の音源を聴いて、どの音が鳴っているかを確かめてみてください。生のギターの音が中心ならアコギ、アンプを通した音が前に出ているならエレキです。憧れている演奏者が使っている楽器を調べるのも早い方法です。
この逆算が効くのは、練習が続くかどうかに直結するからです。弾きたい曲が弾ける楽器なら、多少手が痛くても練習に向かえます。逆に「初心者向きだから」という理由だけで選んだ楽器は、弾きたい曲が鳴らないので、手が離れやすくなります。
ボディサイズと体格の相性
アコギには複数のボディサイズがあります。大きいものほど音量が出て低音が豊かになりますが、抱えたときに右腕が回しにくく、体の小さい方には扱いづらくなります。小柄な方や手の小さい方は、ひと回り小さいサイズのものを候補に入れてみてください。音量は落ちますが、無理な姿勢にならない分、練習が続きます。
エレキは形の違いが見た目ほど演奏性を変えませんが、本体の重さには差があります。立って弾くと肩に重さがそのまま乗るので、長時間の練習では負担になります。座って弾くときも、太ももに乗せたときの座りが悪い形は疲れます。
ここは数字では判断できないところです。楽器店で実際に椅子に座って抱えてみて、右腕が自然に下りるか、左手が1フレット付近まで無理なく届くかを確かめるのが確実です。弾けなくても、抱えるだけで分かることがあります。
弦高と弾きやすさ
弦高とは、指板(左手で押さえる面)から弦までの高さのことです。ここが高いと、弦を押さえるのに大きな力が要ります。初心者が「Fコードが押さえられない」とつまずく原因は、腕の力より弦高にあることが少なくありません。
同じ機種でも、弦高は個体や調整で変わります。値段が安いギターほど、出荷時のまま調整されずに店頭に並んでいることがあり、そのまま買うと必要以上に弾きにくい1本を手にすることになります。逆に、調整をきちんと行ってから渡してくれる店であれば、同じ価格帯でも弾きやすさは変わります。
楽器店で試すときは、弦を軽く押さえてみて、力を入れないと音が出ない状態でないかを確かめてください。判断がつかなければ、店員に「弦高は調整済みですか」と聞くだけでも十分です。購入後の調整に対応してくれるかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。
予算の目安と初心者セットの考え方
最初の1本は、無理のない範囲で構いません。ただし、極端に安いものは弦高の調整幅が足りなかったり、チューニングが安定しなかったりして、練習の妨げになることがあります。数千円の差で弾きやすさが変わる価格帯なので、最安値だけを基準にしないほうが結果的に長く使えます。
ギター本体とアンプ、ケース、チューナーなどをまとめた初心者セットは、必要なものが一度にそろう点が利点です。買い忘れがなく、届いたその日から練習を始められます。一方で、付属品は最低限の作りのものが多く、アンプは早い段階で物足りなくなることがあります。
本体にできるだけ予算を寄せて、周辺機材は必要になったときに足していく買い方もあります。どちらが良いというより、すぐ始めたいならセット、長く使うつもりなら本体重視、という分け方で考えると決めやすくなります。
同時に必要になるもの
ギター本体のほかに、最初からあったほうがよいものがあります。チューナーは必須です。音が合っていない状態で練習しても耳が育たず、コードが合っているかの判断もできません。ピック、替えの弦、ケース、スタンドもそろえておくと困りません。エレキの場合はこれに加えてアンプとシールド(接続ケーブル)が要ります。どのアンプを選ぶかは初心者向けギターアンプの選び方で整理しています。
弦は消耗品です。買った時点で張られている弦も、店頭に並んでいた期間の分だけ劣化しています。音がくすんで聞こえたり、チューニングが合いにくくなったら替えどきです。手順と道具はギターの弦交換にまとめました。
買ったあとは、置き場所も決めておいてください。ギターは木でできているため、湿度と温度の影響を受けます。ケースにしまうかスタンドに掛けるかで手入れの手間も変わるので、ギターの保管方法もあわせて確認しておくと、買ったばかりの1本を良い状態で使い続けられます。