子どものバイオリンのサイズ選び|身長と腕の長さの目安

🎻 弦楽器 | 楽市編集部

バイオリンには分数サイズがあります。身長・腕の長さからサイズを判断する目安、大きめを選んではいけない理由、買い替えの考え方を整理しました。

バイオリンは、子ども用に小さく作られたものが何段階も用意されている珍しい楽器です。ピアノのように「大人と同じものを子どもも使う」わけにはいかず、体に合った一台を選ぶところから始まります。しかも子どもは育つので、一度選んで終わりにもなりません。

サイズ選びで迷ったときに厄介なのは、身長という分かりやすい数字が、実はそこまで決め手にならないことです。同じ身長でも腕の長さは違いますし、バイオリンを構えるときに効いてくるのは腕のほうです。数字を1つ見て決めるより、いくつかの見方を重ねて確かめるほうが確実です。

この記事では、分数サイズの仕組み、身長から見る目安、腕の長さで確かめる方法、大きめを選んだときに起きること、買い替えの頻度、レンタルという選び方までを順にまとめました。

分数サイズとは

バイオリンには、大人が使う標準の大きさを「4/4(フルサイズ)」として、そこから小さくしていく分数サイズという仕組みがあります。3/4、1/2、1/4、1/8、1/10、1/16といった段階が用意されていて、数字が小さくなるほど楽器も小さくなります。

ここで一つ注意したいのは、この分数が大きさの比率をそのまま表しているわけではないことです。1/2サイズは4/4の半分ではありませんし、1/16でも「16分の1」ほど小さくはなりません。あくまで段階を示す名前だと考えたほうが混乱しません。

もう一つ、同じ「1/2」でもメーカーによって寸法がわずかに違います。分数サイズはおおよその規格であって、ミリ単位まで統一されたものではありません。カタログの数字だけで決めず、最終的には実際に構えてみる工程が要ります。

身長から見るサイズの目安

まず当たりを付ける段階では、身長が使えます。広く出回っている目安としては、身長140〜145cmを超えるあたりから4/4、それより少し小さい子で3/4、というあたりが一つの分かれ目とされます。小学校低学年から中学年ごろで1/2や1/4、就学前の小さな子で1/8以下、といった対応がおおまかなイメージです。

ただし、この数字はあくまで最初の見当をつけるための目安です。販売店や教室によって示す範囲は少しずつ違いますし、境目にあたる身長の子はどちらでもおかしくありません。身長が同じでも腕が長い子と短い子がいて、バイオリンの構えやすさを決めるのは後者だからです。

身長で候補を1つか2つに絞り、そこから先は腕で確かめる。この順番が実用的です。身長だけを見て通販で決めると、届いてから合わないと分かる展開になりがちです。

腕の長さで確認する方法

バイオリンは左肩に載せ、左腕を前に伸ばして楽器の先端(スクロール)まで手を届かせる楽器です。つまり、腕が届かなければどうにもなりません。サイズ選びで腕の長さが重視されるのはこのためです。

測り方は難しくありません。腕をまっすぐ横に伸ばしてもらい、首の付け根から手のひらの中ほどまでを測ります。手首までではなく、手のひらの中央あたりまでを見るのが一般的です。左右で差が出ることもあるので、実際に構える左腕で測ります。

この長さとサイズの対応は、広く次のような目安が使われています。数値には製作者による幅があるため、境目の場合は前後のサイズも試す前提で見てください。

腕の長さの目安サイズ
約60cm以上4/4(フルサイズ)
約56cm前後3/4
約52cm前後1/2
約47cm前後1/4
約43cm前後1/8
約40cm前後1/10
約35cm前後1/16

数字で候補が決まったら、最後は実際に構えてみます。楽器を肩に載せて左手をネックの先まで持っていったとき、肘に少しゆとりがあり、指がきちんと丸まった形で弦の上に乗るかを見ます。肘が伸びきってしまう、手のひらでネックを抱え込むように支えてしまう、といった状態は大きすぎるサインです。判断に迷ったら、通っている教室の先生か楽器店で見てもらうのが確実です。

大きめを選ぶと起きること

「どうせすぐ大きくなるから」と一段上を選びたくなるのは自然な発想です。服ならそれで問題ありませんが、バイオリンでは薦められない選び方になります。

大きすぎる楽器を構えると、まず左肘が伸びきります。伸びきった腕では指板の上で指を自由に動かせないので、子どもは無意識に体をひねったり、ネックを手のひらで握り込んだりして帳尻を合わせようとします。これが一度癖になると、体が大きくなって楽器が合うようになった後も、そのフォームが残ります。

負担の面でも見過ごせません。無理のある姿勢で構え続ければ、首や肩、左手に余計な力がかかります。大きい楽器はその分だけ弦を押さえるのに力が要り、指も広げなければなりません。音程が取りにくく楽しくない状態が続けば、練習そのものが遠のきます。

逆に、迷ったときは小さいほうを選ぶのが原則とされています。少し小さい楽器は弾きにくさが出にくく、フォームを崩す方向にも働きません。子どもの習い事全般に言えることですが、続けられる形を保つほうが結果的に近道です。楽器選びと年齢の関係は子どもの楽器の習い事でも扱っています。

買い替えの頻度とタイミング

分数サイズを使っている間は、体の成長に合わせてサイズを上げていくことになります。成長期の子どもであれば、1年から2年ほどで次のサイズへ、というペースが一つの目安です。小さいサイズを使う年齢ほど成長が速いので、間隔は短くなりがちです。

買い替えを考えるきっかけは、身長が伸びたことよりも、構えたときの様子に出ます。肘のゆとりがなくなってきた、指が窮屈そうで弦の間隔に対して指が太くなってきた、といった変化です。定期的にレッスンに通っているなら、先生のほうから「そろそろ次のサイズ」と声がかかることも多くあります。

タイミングとしては、発表会やコンクールの直前を避けるのが無難です。サイズが変われば弦の間隔も指板の長さも変わり、慣れるまで音程の感覚が狂います。切り替えるなら本番の予定が空いている時期を選びます。

サイズが上がるたびに前の楽器が手元に残っていくのも、この楽器の特徴です。次の子が使う予定がなければ、状態のよいうちに次の弾き手へ回すことを考えておくと選択肢が広がります。使わなくなった楽器の扱いは使わなくなった楽器の手放し方に整理しました。

レンタルという選択肢

分数サイズを何度も買い替える前提を考えると、レンタルは合理的な選び方です。楽器店や教室が扱っていることがあり、月額で借りて、サイズが合わなくなったら次の大きさに交換する形が一般的です。

利点は3つあります。買い替えのたびに手放す手間が要らないこと、その都度サイズの合ったものに交換できること、そして続くかどうか分からない段階で大きな出費を先送りできることです。特に最初の1年は、この身軽さが効きます。

一方で、長く続けることがはっきりしてきたら、購入と比べて考える時期が来ます。何年も借り続ければ支払総額は積み上がります。分数サイズの間は借りて、4/4で購入する、という切り替え方をする人もいます。

借りる場合でも、日々の手入れは自分の楽器と同じように必要です。返却時の状態にも関わるので、松脂の扱いや弦の交換、保管のしかたは早いうちに身につけておくと後が楽になります。手入れの手順はバイオリンの手入れと保管にまとめています。

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