トランペットの手入れ|日々のケアと定期的な分解掃除

🎺 管楽器 | 楽市編集部

演奏後の水抜きから、バルブオイル・スライドグリスの差し方、定期的な洗浄まで。トランペットを良い状態で使い続けるための手入れを順に説明します。

トランペットは息を吹き込んで鳴らす楽器なので、演奏のたびに管の中へ水分が溜まります。これは呼気に含まれた水蒸気が金属の管で冷やされて水になったもので、唾液や口の中の細かい汚れも一緒に運ばれています。そのまま放置すると管内に汚れが残り、動きの渋りやにおい、傷みのもとになります。

手入れは大きく二つに分かれます。演奏のたびに数分で終わる日々のケアと、数か月に一度まとめて行う分解洗浄です。日々のケアを続けていれば管内に汚れが溜まりにくく、そのぶん洗浄のときの負担も軽くなります。逆に毎日を省いていると、汚れが固まってから落とすことになり、手間も楽器への負担も増えます。

ここでは、演奏後の水抜きから、バルブオイルとスライドグリスの差し方、外側の磨き方、定期的な洗浄、そしてケースへのしまい方までを順に説明します。

演奏後に毎回やること

まずは水抜きです。トランペットには「ウォーターキイ」と呼ばれる水を抜くための小さな栓が付いています。多くは主管とサードスライドにあり、ここを押しながら息を強く吹き込むと、溜まった水が外に出ます。演奏の合間にも水が溜まってきたら抜いておきます。管の中で水がゴボゴボと鳴るのは、抜きどきのサインです。

片付ける前には、抜き差しする管をいくつか外して、中に残った水も落としておきます。ウォーターキイからは抜けきらない水が残っていることがあるためです。外した管は元の位置に戻せるよう、どの管がどこのものか確認しながら扱います。左右で長さの違う管もあるので、迷いそうなら一本ずつ外して戻す方が安全です。

最後に、本体の外側を柔らかいクロスで拭きます。手の脂や汗は金属にとって負担になるので、触れた場所を軽く拭き取っておくだけでも状態が変わります。演奏直後は管が温まっていて汚れも落ちやすく、この時点で拭いておくのが一番効率的です。

バルブオイルの差し方と頻度

ピストンはごく狭い隙間で動いているため、油の膜が切れると動きが重くなります。動きが渋いと感じたときはもちろん、そう感じる前に差しておく方が楽器のためになります。頻度は吹く量によって変わりますが、毎日吹く人なら数日に一度、週に何度か吹く程度なら吹くたびに様子を見る、といった間隔が一つの目安です。

差し方は、ピストンを抜きすぎないのがこつです。ピストンを固定しているキャップを緩め、ピストンを半分ほど持ち上げて、露出した側面に数滴垂らします。全部抜いてしまうと向きを間違えて戻す原因になりますし、ピストンの側面を余計に触ることにもなります。オイルを差したらピストンを元に戻し、上下に何度か動かして全体に行き渡らせます。

戻すときは向きに注意します。ピストンには番号が振られており、正しい向きで入っていないと音が出ません。抵抗を感じるまま無理に押し込まず、軽く回しながら自然に落ち着く位置を探します。オイルは楽器用のものを使い、機械油などで代用しないようにします。

スライドグリスの扱い

主管や第1・第3以外の抜き差し管は、頻繁に動かすものではなく、抜けたり動いたりしないようグリスで保持します。ここにはオイルではなく粘りのあるスライドグリスを使います。塗る量は、管の差し込み部分に薄く伸ばす程度で十分です。

一方、チューニングのために演奏中に動かす第1・第3のスライドは、動きの軽さが求められます。ここは粘りの強いグリスだと重くなるため、専用のオイルや軽めのグリスを使うのが一般的です。同じ「管」でも、動かすものと動かさないもので使い分けると考えるとわかりやすくなります。

グリスは付ければ付けるほど良いものではありません。多すぎるとはみ出した分にほこりが付き、かえって汚れを呼びます。塗り直すときは、古いグリスをクロスで拭き取ってから新しいものを付けます。古い層の上に重ねると、汚れを閉じ込めたままになります。

外側の磨き方(ラッカーと銀メッキで違う)

外側の手入れは、表面の仕上げによって扱いが変わります。トランペットの表面は、金属の上に塗装をかけたラッカー仕上げと、銀を薄くかぶせた銀メッキ仕上げが代表的です。自分の楽器がどちらかを把握しておかないと、良かれと思った手入れが表面を傷めることがあります。

ラッカー仕上げは、塗装の膜を守るのが基本です。乾いた柔らかいクロスで拭くだけにとどめ、研磨剤の入ったものは使いません。塗装ごと削ってしまうと元には戻らないためです。汗が付いたままにすると塗装が傷む原因になるので、こまめに拭くことの方がずっと効果的です。

銀メッキ仕上げは、空気中の成分と反応して黒ずんできます。これは銀の性質によるもので、汚れとは別のものです。落とす場合は銀製品用のクロスを使いますが、磨くたびに銀の層はわずかに減っていきます。演奏に支障が出るものではないので、気になったときだけにして、普段は乾いたクロスで拭くにとどめるのが穏当なやり方です。

定期的な分解洗浄

日々拭いていても、管の内側には少しずつ汚れが溜まります。そこで、数か月に一度を目安に、管とピストンを外してぬるま湯で洗います。熱いお湯は使いません。半田付けされた部分や表面の仕上げに負担がかかるためです。

手順としては、管とピストンを外し、ぬるま湯に浸してから、管の内側をクリーニングスネークで通します。ピストンの穴やケーシングの内側も、専用のブラシで軽くこすります。力を入れて磨く必要はありません。洗い終わったらよくすすぎ、水気を切って完全に乾かします。乾ききる前にオイルを差すと、油が水に押されて膜になりません。

組み直したら、あらためてバルブオイルとスライドグリスを差します。洗浄で油分が落ちているので、この工程を飛ばすと動きが渋くなります。ピストンの向きや管の位置に不安があるうちは、分解する前にスマートフォンで写真を撮っておくと戻すときに迷いません。管の凹みや半田の外れは自分で直せる範囲を超えるので、その場合は楽器店の点検に出します。

ケースへのしまい方

しまうときは、水を抜き、外側を拭いてからケースに入れます。水が残ったままケースに入れると、閉じた空間で湿気がこもり、管内にも表面にも良くありません。マウスピースは本体に挿したままにせず、外して所定の場所に収めます。挿したままケースを閉じると、ぶつかった衝撃で抜けなくなることがあります。

ケースそのものの置き場所も気にかけます。直射日光の当たる場所、暖房の風が直接当たる場所、湿気のこもる場所は避けます。車の中に置いたままにするのは、夏冬とも温度が振れるので特に避けたいところです。管楽器の手入れの考え方は楽器ごとに違うので、他の楽器も持っている方は、フルートの構造と手入れの基本サックスの選び方と扱いもあわせて確認しておくと違いがわかります。

しばらく吹かないことがわかっている場合も、しまう前の水抜きと乾燥はきちんとやっておきます。そのうえで時々ケースから出して、ピストンを動かし、オイルを差しておくと、次に吹くときの状態が変わります。吹かない期間が年単位になり、この先も使う予定がないようであれば、そのまま眠らせるより、使わなくなった楽器をどうするかを一度考えてみるのも一つの選択です。金属の楽器は手入れさえ続いていれば長く使えるので、状態のいいうちに決める方が選べる幅は広くなります。

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