ギターの保管方法|湿度・ケース・スタンドの使い分け

🎸 ギター・ベース | 楽市編集部

ギターは湿度と温度に影響を受けます。ケース保管とスタンド保管の違い、湿度の目安、長期間弾かないときの扱いまで整理しました。

ギターは木でできた楽器です。木は周囲の空気の乾き具合に合わせて水分を吸ったり吐いたりするため、置いてある部屋の状態がそのまま楽器の状態に表れます。同じギターでも、梅雨時と真冬とで弾き心地が違って感じられるのはこのためです。

保管というと専用の道具をそろえる話になりがちですが、実際に効くのは「どの部屋のどこに置くか」という判断です。ケースにしまうかスタンドに立てるか、湿度をどのくらいに保つか、長く弾かない時期をどう乗り切るか。順に整理します。

ここでは、はじめて自分のギターを持った方が日常でできる範囲を中心に扱います。特別な設備がなくても、置き場所と季節ごとの手当てで防げることは多くあります。

ギターが湿度で受ける影響

ギターの表板や裏板、ネックは木材でできています。空気が湿っていれば木は水分を含んでわずかに膨らみ、乾いていれば水分を手放して縮みます。この伸び縮みは目で見て分かるほどではありませんが、弦の高さやネックの反りといった、弾き心地に直結する部分に影響します。

湿気が多い時期には、木が膨らんでネックが順反り気味になり、弦が指板から浮いて押さえにくくなることがあります。アコースティックギターでは表板がふくらみ、弦高が上がったように感じられる場合もあります。金属部分にとっても湿気は歓迎できるものではなく、弦やフレットのサビは湿った環境で進みやすくなります。

逆に乾きすぎも問題です。木が縮むことで、指板の端からフレットの先が飛び出したように感じられたり、塗装や接着部分に負担がかかったりします。乾燥が急に進んだときの割れは、湿気による不調と違って元に戻らないため、冬場のほうが実は注意が要ります。

適した湿度の目安

一般に、ギターにとって過ごしやすい湿度はおよそ50パーセント前後、幅を持たせても40〜60パーセントの範囲とされます。温度は人が快適に感じる範囲であればおおむね問題ありません。人が過ごしやすい部屋は、ギターにとっても比較的過ごしやすい部屋だと考えて差し支えありません。

数字そのものより大切なのは、急激に変わらないことです。同じ50パーセントでも、一日のうちに30パーセントから70パーセントの間を行き来する部屋と、ゆるやかに保たれている部屋とでは、楽器への負担がまったく違います。木は変化そのものより、変化の速さに弱いと考えてください。

湿度を管理したいなら、まず湿度計を1つ置くところから始めます。数百円から手に入るもので十分で、体感に頼らず数字で把握できるようになるだけで判断がぶれなくなります。梅雨と真冬の実際の数字を知ることが、道具を買い足すかどうかの判断材料になります。

ケース保管とスタンド保管の使い分け

ケースにしまう保管は、外気の変化から楽器を守る力が強く、ホコリも付きません。ハードケースであれば内部の湿度が動きにくく、湿度調整剤を一緒に入れれば、部屋全体をどうにかしなくてもケースの中だけを整えられます。ぶつけたり倒したりする事故もほぼ防げます。

一方、スタンドに立てておく保管は、思い立ったときにすぐ弾けるという一点で優れています。ケースから出す手間が挟まるだけで練習の回数は目に見えて減るため、上達を優先するなら手の届く場所に出しておく価値は十分にあります。ただし、ホコリはたまり、部屋の湿度変化はそのまま楽器に伝わります。

項目ケース保管スタンド保管
湿度変化への強さ強い(調整剤を併用しやすい)部屋の状態がそのまま伝わる
手軽に弾けるか出し入れの手間があるすぐ手に取れる
ホコリ・転倒ほぼ防げるホコリは付き、転倒の危険がある
向いている場面長期保管・持ち運び・季節の変わり目日常的に弾いている時期

実際には、どちらかに決める必要はありません。毎日弾いている時期はスタンドに出しておき、梅雨や真冬、しばらく触らない見込みの時期はケースにしまう、という使い分けが現実的です。スタンドに出す場合は、壁際で人の動線から外れた場所を選び、倒れにくい構造のものを選んでください。

置き場所として避けたい場所

窓際は避けます。直射日光は塗装を変色させ、日中と夜間の温度差も大きくなります。ガラス越しでも日射の影響は届くため、カーテンがあるから大丈夫とは考えないほうが安全です。

エアコンや暖房器具の風が直接当たる場所も向きません。ここは部屋の中でもっとも乾燥と温度変化が激しい一角で、木が急に水分を失う原因になります。同じ理由で、こたつや電気ストーブのそばに立てかけるのも避けてください。

このほか、外気に接する壁のすぐ横、押し入れの奥、車のトランクは、いずれも温度と湿度が大きく振れる場所です。人が長く過ごさない場所は、楽器にとっても過ごしにくい場所だと考えると判断しやすくなります。部屋の中央寄り、人が生活している空間に置くのが結局はいちばん無難です。

長期間弾かないときの扱い

数か月以上弾かない見込みなら、ケースにしまいます。その際、弦は張ったままでも構いませんが、後述のとおり半音から1音ほど緩めておくと安心です。湿度調整剤をケース内に入れておくと、季節をまたいでも状態が保ちやすくなります。

しまう前に、弦とボディを乾いた布で拭いておきます。手の脂や汗が付いたまま長期間放置すると、弦のサビや金属パーツのくすみが進みます。汚れたままの弦をそのまま放置するくらいなら、しまう前に張り替えてしまうのも一案です。弦交換の手順と道具は別の記事で説明しています。

しまいっぱなしにせず、季節の変わり目に一度は開けて状態を見てください。ネックの反り、弦のサビ、ケース内の湿気の匂いは、開けた瞬間に分かります。もし「この先も弾く見込みがない」と感じたなら、置いておくほど状態は落ちていきます。楽器は使われている状態がいちばん保ちやすいので、その場合は使わなくなった楽器の手放し方を検討する時期かもしれません。

弦は緩めるべきか

これは意見が分かれる話題で、絶対の正解はありません。弦の張力はギター1本あたりで数十キロにのぼり、その力がネックに常にかかっています。緩めるべきだという考え方は、この負担を減らしておきたいという発想に基づきます。

一方、緩めなくてよいという考え方も同じくらい一般的です。ギターは弦が張られた状態を前提に作られており、トラスロッド(ネックの中に入った金属の芯棒)が張力と釣り合うように調整されています。毎回大きく緩めると、その釣り合いが行き来することになり、かえってネックが安定しないという見方です。

実用上は、次のように整理すると迷いません。数日から数週間で弾く予定があるなら、そのままにしておきます。数か月以上しまい込むときや、車での長距離移動、寒暖差の大きい環境に置くときは、半音から1音ほど緩めておきます。完全に緩めきる必要はありません。

いずれにせよ、緩めるかどうかより置き場所と湿度のほうが状態への影響ははるかに大きいものです。まずは日の当たらない、風が直接当たらない、人が過ごす部屋に置く。そのうえで湿度計を1つ置いて季節ごとに手当てする。ここまでできていれば、弦の扱いは好みの範囲に収まります。これから1本目を選ぶ方は、最初の1本の決め方と合わせて、家のどこに置くかも一緒に考えておくと後が楽になります。

姉妹サイト

ピアノ・楽器売るならピアット

ピアノの買取業者を、対応エリア・買取方法・費用の条件で比較できるサイトです。アップライト・グランド・電子ピアノの機種別、メーカー別の情報もまとまっています。